過疎化が進む小島。
「ハイツ結城」は、その島同様に周囲から浮いた存在だった。
なぜなら管理人を除き、住人全員がゲイだから。
ここは同じ痛みを知る者同士が、安心して暮らせるよう建てられた「城」なのだ。
けれど、ひとつの淡い恋心が、アパート内に思わぬ亀裂を生じさせる。
さらに、町の人々からの圧力もジワジワと迫り……。
絶望の先に希望を見出すための土田英生流・集団論。

 

張りつめた状況の中に身を置く普通の人々の佇まいや、認識のズレから生じる会話の可笑しさや哀しさを軽快なテンポのコメディとして描くことで定評のある土田英生。2009年には演劇集団『初夜と蓮根』、劇団青年座『その受話器はロバの耳』などの新作戯曲を書き下ろし、2010年にはG2プロデュースにより『相対的浮世絵』(2004初演)が上演されるなど、その勢いは留まるところを知らない。その土田が代表を務める劇団「MONO」で1997年に上演した代表作『−初恋』が土田自身の演出で蘇ります。

 

今生きている世界に居場所がなく、自分だけが浮いている。
孤独と疎外感にさいなまれた時、同じ痛みを抱えた人と出会うと希望がわくものの、やはり理解しえないと分かった時、さらに深い絶望に襲われる。『―初恋』は、ゲイの男性ばかりが住むアパートという少し特殊な設定の中に、そんな孤独と希望、絶望と自己解放を凝縮した物語です。
……とは言え、土田作品の真骨頂はなんと言っても、間と呼吸に重点をおいた会話劇。登場人物たちが一見のんきにバカ話をしていく中に人間の弱さが見え隠れし……。

 

連続テレビ小説『あぐり』のヒロインをはじめ、多数のテレビドラマ・映画・舞台で活躍する田中美里、『ヘンリー六世』(2009/新国立劇場)の演技が記憶に新しい文学座の今井朋彦、ラーメンズでの活動の他、数々の舞台に出演する片桐仁、猫のホテルの主宰で数々のプロデュース公演の作・演出も務める千葉雅子など、魅力・実力を兼ね備えた俳優陣とともに、新しい『―初恋』が誕生します。

 

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